平久保半島自治協議会
THE HIRAKUBO PENINSULA ORDINANCE

この半島の使い方は、
ここに住む私たちが決める。

条例案 全文を読む(第4稿) PDFをダウンロード
01 WHY AN ORDINANCE

なぜ、条例が必要なのか。

平久保半島には、いま複数の大規模開発計画の話が届いています。私たちは開発そのものを否定していません。問題は、それぞれがばらばらの考え方で進んだとき、半島全体としての価値が失われることです。

FACT 01
この価値は、
数字で測れます。

夜空の暗さは実測で 21.89 mag/arcsec²。感覚ではなく計測値として、他と比較できる資産です。

FACT 02
一箇所崩れると、
全体が下がります。

光は敷地境界で止まりません。ひとつの施設の照明が、半島全体の測定値を押し下げます。個別の努力では守れない性質のものです。

FACT 03
現行の法令では、
基準がそろいません。

建築基準法にも景観法にも、夜の暗さを守る数値基準はありません。地域ごとに定めなければ、判断はその都度ばらつきます。

02 WHAT THE ORDINANCE DOES

条例で、何が変わるのか。

条例案は全9章34条。要点は6つです。数値はすべて第4稿の条文に基づいています。

第3章 第7〜11条
夜の暗さを
数値で守る
世界最大級のダークスカイ・リザーブ、アオラキ・マッケンジー(NZ)の地区計画に合わせた基準です。

照明の色温度・向き・光源の種類・敷地境界の明るさに、明確な上限を置きます。「配慮する」ではなく、測れる基準にします。

下の「テカポ」は世界最大級のダークスカイ・リザーブ、アオラキ・マッケンジー地区計画(NZ・2023年確定)の値。「国内」は現在ある光害防止条例・星空保全条例の水準です。

色温度
新設 2,700K 以下/既存 3,000K 以下
テカポ:3,000K 以下
国内:神津島 3,000K 以下。鳥取・美星は色温度の規定なし
上方光束
0%(既存は改修まで 2.5% 以下)
テカポ:遮光板の縁が光源より下・全光を水平以下へ
国内:鳥取 2.5% 以下。美星は「水平以上に漏れない設計」
光源の種類
LED・低圧/高圧ナトリウムのみ
テカポ:同じ(水銀灯・メタルハライド等は不可)
国内:国内の条例に規定は見当たりません
敷地境界の明るさ
22時〜6時 1ルクス以下/6時〜22時 5ルクス以下
テカポ:農村区域で同値
国内:国内の条例に規定は見当たりません
夜間
投光器・使っていない区域の照明・レジャー施設の照明を 22時〜6時 消灯
テカポ:同じ対象を 22時〜6時 禁止
国内:美星は22時〜日の出の消灯を奨励(義務ではない)
天窓
22時〜6時 上方の採光部から光を漏らさない
テカポ:同じ(22時以降)
国内:国内の条例に規定は見当たりません
看板の明るさ
広告面 100cd/㎡ 以下・上から下へ照射・22時〜6時は消灯を推奨
テカポ:—
国内:神津島 100cd/㎡。鳥取 400cd/㎡
総光束量
100㎡あたり 5,000lm 以下(星空保全区域 3,000lm)
テカポ:—(対応する規定なし)
国内:—
暗さの目標
平久保暗さ基準 SQM 21.0 以上を維持
テカポ:—
国内:美星は「前年度より明るくしない」という相対目標

この基準の位置づけ。国内の光害防止条例は、上方への光漏れと消灯時刻を中心に定めており、光源の種類・敷地境界の明るさ・天窓には踏み込んでいません。この条例案は、そこをテカポと同じ形で埋めています。逆に総光束量は、テカポに対応する規定がなく、国内にも例がありません。実測値(SQM)に基づいて見直す規定を条例に入れてあります(第8条3項)。

既存の照明には10年の経過措置があります(第9条)。灯台・航路標識、道路照明と集落の防犯灯、漁港の荷役や農作業の投光器、災害対応の照明には適用除外を設けています(第8条の3)。改修には市の技術的助言・財政的支援を想定しています。

第4章 第12〜15条
着手の前に、
確認する

石垣市風景計画で届出が必要な行為(自然風景域・農用地地区は規模を問わず、集落地区は高さ5m以上)に加えて、1,000㎡以上の建築・開発、宿泊施設の新増設、大規模照明の設置は、着手の30日前までに届け出。基準に合わない場合は30日以内に変更を求めます。建築確認の前に手続を終える仕組み(建築主事への通知制度)で、着工後の手戻りを防ぎます。市の届出に上乗せするもので、市の届出義務が免除されるわけではありません。

第2章 第5〜6条
景観計画に
位置づける

平久保半島は既に石垣市風景計画(景観法第8条)の区域内。本条例はそこに上乗せする基準を定めます。建築物の高さ・形態・色彩、緑化・修景の基準を、集落部/自然区域/観光区域に分けて定めます。区域の指定と変更は、パブリックコメントと市議会の議決を経ます。

第5・6章 第16〜25条
自然と海岸の
使い方を整える

特定自然利用区域の指定、認定ガイド制度、利用人数の上限、バギー等事業者の登録制。海岸では車両乗り入れ・路上駐車・マリンアクティビティのルールを定め、多言語で周知します。使わせないためではなく、使い方を決めるためです。

第7章 第26〜28条
事業者と
協働する

観光事業者は利用者にルールを周知します。協議会の認定事業者制度は条例の遵守を要件とし、市は認定事業者の遵守状況を踏まえた支援を行います。基準を守る事業者が有利になる設計です。

第9章 第34条
運用を
毎年公表する

届出件数、変更命令件数、SQM測定値の推移を毎年公表します。協議会は運用評価会議を毎年開き、住民・事業者・行政の意見を集約します。基準は作って終わりではなく、検証し続けます。

03 WHAT THIS IS NOT

罰するための条例では、ありません。

この条例の中心にあるのは罰則ではなく、着手の前に確認する仕組みです。事後に取り締まるより、計画段階で논点を出し合うほうが、双方にとって損失が小さいからです。

よくある誤解
開発を禁止する条例だ

禁止条項はありません。定めているのは、照明・高さ・色彩などの満たすべき基準と、その確認手続です。

よくある誤解
住民が拒否権を持つ

持ちません。届出先は市であり、判断は市長が行います。協議会は測定と住民監視の体制づくりに協力する立場です。

よくある誤解
既存の建物も違反になる

なりません。既存照明には10年の経過措置があり、着手済みの事業には届出の規定は適用されません(附則2)。

WHAT WE ASK

条例で決めたいのは、
この地図に描いたことです。

抽象的な条文の前に、私たちが実際に困っていることを絵にしました。水上バイクの乗り入れ、砂浜へのバギー、夜通しの照明、置き去りのごみ、無許可のイベント。どれも「起きてから」では取り返しがつきません。

条例の各条文は、この一枚に描かれた困りごとに、ひとつずつ対応しています。インタープリテーション計画が「伝えたいこと」なら、こちらは「守ってほしいこと」です。

平久保半島で守ってほしいことを描いたイラストマップ。水上バイク、強い照明、バギーの乗り入れ、ごみの放置、無許可イベントに×印がつけられている
平久保半島自治協議会が作成
04 PRECEDENTS

前例のない話ではありません。

同じ考え方の条例は、すでに各地で運用されています。私たちは、そこで実際に機能している仕組みを踏まえて条文を作りました。

なぜ、ニュージーランドの基準に合わせたのか

観光地になったから規制したのではありません。
規制が先にあったから、資源が残りました。

ニュージーランド南島のマッケンジー地区が屋外照明のルールを地区計画に定めたのは1981年。当時そこは観光地ではありませんでした。ルールが先にあり、夜空の暗さが守られ、その31年後の2012年6月、同地区は世界で初めて最高位「ゴールド」の認定を受けた国際ダークスカイ・リザーブになります(面積4,367km²)。

中心集落テカポの人口
約600人
地区全体の年間訪問者
(2017〜18年)
約100万人
星空の有料体験の参加者
年4万人超

平久保半島は、まだその順番の入口にいます。大規模リゾートホテルが一軒もない今なら、基準を先に定めておけます。一度明るくなった夜空を暗く戻した例は、世界のどこにもありません。事業者にとっても、先に基準に沿って建てておけば、あとからの改修費用も、後年の規制対応も要らなくなります。

出典: Mackenzie District Plan(1981年の照明規定/Plan Change 22 – Light 決定 2023年4月4日)、Stuff.co.nz(訪問者数)、RNZ(人口)、New Space Economy 2024(星空体験の参加者数)。条例案 第3章は同地区計画を参照し、敷地境界の照度は農村区域と同値、新設設備の色温度はより厳しい値としています。

アオラキ・
マッケンジーニュージーランド
屋外照明の地区計画。1981年制定。条例案 第3章の直接の参照元
ニセコ町
景観条例。高さ・面積規制を建築確認と連動させる仕組み
軽井沢町
土地利用行為の手続等に関する条例。事前手続でゲートする型
京都市
高さ規制の地域別細分化
井原市 美星町
光害防止条例。日本で最も早い時期からの運用実績
高山村・山都町
光環境/星空環境の保全条例
小笠原村・慶良間
エコツーリズム推進全体構想による利用調整
05 FOR DEVELOPERS

条例を待たずに、
今から一緒にできます。

条例の制定には時間がかかります。その間も開発は進みます。だから私たちは、条例の基準を任意で先に実施する協定を用意しました。締結いただいた事業者は、認定事業者として位置づけ、協議会のサイトから予約導線までつなぎます。

資料
事前届出の流れ(1枚)
準備中
条例案 全文(第4稿・改稿履歴つき)
準備中
平久保半島共同憲章
準備中
計画段階でのご相談を歓迎します。早くお話しいただくほど、双方の手戻りがなくなります。
事前相談する
06 WHERE WE ARE

今、どこまで来ているか。

条例はまだ制定されていません。私たちがどこまで進み、次に何をするのかを、そのまま公開します。

2024.12
協議会 発足
共同憲章を策定

五つの公民館が集まり、地域の理念を文書にしました。

2025.04 – 07
インタープリテーション計画
認定事業者制度 開始

条例を待たず、地域の側で運用できる仕組みを先に始めました。

2026.04 – 05
総会で活動計画を承認
条例案 第4稿

総会で全会一致の承認。市役所との意見交換も継続しています。

これから
事業者との協定締結
市への提案・パブコメ・議会

制定に向けた手続きは、進捗をこのページで公開します。

条例案の全文と、改稿の履歴を公開しています

第1稿から第4稿まで、どこをどう直したかを含めて公開します。とくに第2稿では市道の扱いを、第4稿では全体のフレームを「自然保護」から「地域価値の創造」に改めました。議論して直してきた文書であることを、そのまま見ていただきたいと考えています。

条例案 第4稿 全文 改稿履歴を見る
07 YOUR VOICE

ご意見をお寄せください。

住民の方、事業者の方、半島の外の方。賛成でも反対でも構いません。条例は、意見が集まるほど強くなります。いただいたご意見は、毎月第1水曜の月例会で扱い、議事録として公開します。